中学受験では国語以上にある意味漢字に気を付けなければいけないのが社会です。中学受験の社会では地理では山地山脈などの白地図から都道府県名、歴史では人名や事件、公民では法律の名前が漢字指定されている場合があります。
さらに中学受験もどんどんと様変わりしています。一昔前に比べ、どの教科でも記述問題の出題が増えており、受験生は正確に語句を暗記することが必要です。2020年に教育改革が進み、大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」に変わりますし、英検も記述問題が出題されるようになりました。今後も、このような教育の変革は出てくることが予想されます。
今後も中学受験の社会科でも漢字指定の出題は一定数続くでしょう。さらに、重要キーワードの際には漢字で書くことを指定されることもあり、ひらがなで書いたり漢字を間違えたりすると✕とみなされてしまいます。そこで、社会の入試対策においてはただ内容を理解するだけでなく、漢字対策も必要になるのです。
そこで、今回は中学入試において社会の語句を漢字で覚えるためのコツを説明していきます。また、なぜ漢字で覚えることが必要なのか、漢字で書くことを求められるのかという背景についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
背景も理解すると、保護者の方もお子様に漢字で書く必要性を説明できるようになり、お子様自身も勉強の際に漢字を正しく覚えること、漢字で書く習慣を身につけやすくなります。
なぜ中学受験の社会科で漢字指定が出題されるのか
多くの学校の説明会で「漢字指定の問題は漢字で書けないと不正解にする」という話があったり、入試説明会資料では、なるべく漢字で書くよう指示がされたり、ということがされています。このように漢字指定に関して記載されるようになった背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
中学受験生の学力を見るため
これは誰もが想像しやすい理由ではないでしょうか。漢字を正しく覚えることができる学力があるかどうかを判断することで、合否を出そうという考えです。特に今はパソコンやスマホが普及したことで、大人の漢字力の低下が問題視されています。日頃から漢字で覚える習慣が身についていること、正しく漢字を把握して覚えられる学力があるかどうかは、中学入学後の学習内容についていくことができるかどうかの判断材料として有効です。
当日の合格発表に対応するため
これは中学校側の事情ではありますが、この数年で漢字での記述を求める学校が増えた一因の一つです。首都圏の中学入試を中心に、合否を受験日当日に発表する流れが増えています。数百人の受験生が受験したものを当日中に採点し、結果を入力して合否を出すためには少しでも効率的に採点する必要があります。
そのため、採点者が混乱することなく〇×をつけるために、答えを一つに限定するために漢字指定をしているという背景もあるのです。もちろん漢字が正しいか確認する手間はかかりますが、ひらがなで書いたものや、ひらがなと漢字が混ざっているものはすぐに✕をつけられる、というだけでも採点のスピードを上げることができます。素早く採点を進めて、当日中に合否を出せる状態にするためにも、漢字指定がされるようになっているのです。
また、最近は学校によっては解答用紙のデータをスキャンしてパソコンが採点するケースも出ています。その際も、解答のパターンが複数あるよりは統一されていたほうがパソコンも採点しやすくエラーが少ないという点で漢字指定を導入しているという場合もあります。
漢字対策として取り組むべき3つのこと
漢字指定対策として具体的にどのようなものに取り組めばよいのでしょうか。具体的な方法として3つ紹介します。
塾に通い始めた時に漢字で覚える必要性を伝えておく
お子様が塾に通い始めてすぐのときに、漢字で覚えることをルールとしておくことはとても大切です。保護者の中には、まずは毎週きちんと通うこと、宿題をすることを優先し、塾に慣れてきたら漢字で書く習慣を身につけようと考える人もいるかもしれません。しかし、早めの段階で漢字で書けるようになることは「受験生の選択肢を広げる」という意味でも大変重要です。
最初は覚えるのに時間がかかりますが、一度に語句の意味や漢字など、覚えるべき情報はすべて覚えるようトレーニングをしておくと、漢字のための時間を作る必要はありません。漢字で書かれているものは漢字で覚えなければならないこと、正式名称で覚えることが大切なこと、をきちんとお子様に伝え、習っていない漢字でも、宿題をするときに書き写しながら覚えるようにすることをルーティンにしていくようにしましょう。
漢字で覚えていないと、模試の前に漢字を覚える時間を設ける必要が出てしまい、二度手間ですし、ひらがなで重要キーワードを覚えても漢字指定の問題には点に結びつかず、子どもたちのモチベーションを下げたり、社会嫌いになったりする原因となります。
覚え方を身につける
お子様によって漢字の得意不得意があります。子どもによっては、問題を解くときに漢字で書き写すだけで覚えられる子もいれば、何度書いてもなかなか覚えられないという子もいます。そこで、自分が漢字を覚えるのが得意なのかどうか、苦手な場合にはどうすると覚えやすいのか、という覚え方のコツを確認していきましょう。
漢字を覚えるにあたり、何度も書くのが良いタイプ、声に出して読みながら書くのが良いタイプ、大きく書いて貼っておき目にする回数を増やしたほうが良いタイプ、など様々なタイプに分類することができます。毎週の塾の宿題に取り組みながら、自分がどのタイプに当てはまるのかを確認しておくと、自分に合った勉強方法を身につけることができ、効率的に漢字を覚えられるようになります。
はじめのうちは保護者も一緒に宿題に取り組む
塾に通い始めたすぐは、お子様も正しい勉強方法を理解していません。そこで、宿題をするときに保護者も内容のチェックをする時間を設けるようにしましょう。〇つけも漢字を正しく書けているかどうか一緒に確認したり、覚えられていない漢字はどのように覚えるのか一緒に考えたりすることで、子どもたちも正しい勉強方法を身につけられます。
特に漢字は慣れるまでは正しく書き写すことができず苦労するものです。間違えて覚えるともったいないですから、正しく覚えられているかチェックする時間は必ず設けましょう。一緒にチェックする際にどこを間違えているのか、どうやって覚えるのが得意そうかということも一緒に考えて実践していくと、先々子どもが一人で正しい方法で宿題に取り組むことができるようになります。社会という教科は、お父さんお母さんも協力できる教科です。ぜひ、社会がどの程度漢字で書けているのか一度チェックしてみてあげてください。
中学受験で漢字指定問題はこのような形でされる
漢字指定については、学校の説明会で「社会の用語は漢字で書くように」とか「漢字指定の問題はすべて漢字で書かないと不正解とします」といった伝え方をされることが一般的です。中学受験の入試で、社会の入試問題には「漢字で書きなさい」という指定があるものがあります。当然、漢字指定された問題をひらがなで書いてしまうと減点になってしまいます。
漢字指定された問題はひらがなで書くと良くても減点対象、間違った漢字を書くと不正解で点数がもらえません。社会の歴史上の人物は漢字が多く、藤原頼通の「通」を「道」と書いてしまったり、大変難しくなっています。
しかし、学校説明会などで漢字指定が必要と伝えていない学校の場合でも、実際は漢字指定の問題もあるので気を付けましょう。例えば、促成栽培が答えの場合に「4文字で答えなさい」という指定がされていることがあります。これは、ひらがなだと「そくせいさいばい」となってしまい指定文字数に合いません。
その他にも、「促」がわからなかったときにも「そく成栽培」といった書かい方をしても指定文字数に合わないので不正解となってしまいます。そのため、すべて漢字で書かないと不正解とされてしまうのです。
学校によっては、解答用紙がマス目になっていて、解答の文字数が指定されていることもあります。このような形で漢字で書くことをはっきりと明記されていなくても、漢字指定がされるということがあるので、解答用紙を確認し、漢字指定がされているかどうかを確認しておく必要があります。また、漢字指定に対応できるようにするために、日頃から漢字で覚えておくことが大切なのです。
漢字指定でなければ、すべてひらがなでもOKか?
基本的に漢字指定がなければ、ひらがなで書いても問題ありません。ですが、簡単な漢字もひらがなで書き、答案用紙がひらがなだらけだったら採点する人はどう思うでしょうか。あまり良い印象にはならないかもしれません。
ですが、実際の中学入試では、漢字指定の問題も多々あります。ですので、6年生の直前期はともかくとしても、4年生、5年生のうちは、漢字でかけるように勉強していると、志望校の選択肢の幅もひろがります。
また、例えば「あしかがたかうじ」と回答するよりも「足利たか氏」と分かる範囲では漢字で書くようにしましょう。基本的に漢字は書いて覚える方が頭に残りやすいため、1日10回など回数を決めて覚えるようにしてみましょう。「卑弥呼」のような特殊な読みや複雑な漢字が必要なものの場合、まずは声に出して読むことで読みと書きを一緒に覚える事ができるためオススメです。
漢字対策で悩んだらスタディアップの教材を活用しよう
漢字対策にも強い社会の教材で「スタディアップ」の教材があります。弊社は日本で唯一の中学受験社会の専門塾であり、社会が苦手な子の得点アップに向けた教材から、偏差値60を超えるための教材まで幅広く制作しています。中学受験社会に特化しているため、毎年全国すべての入試問題の傾向を反映させ、毎年ブラッシュアップしています。
中でも人気のあるロングセラー教材に「コンプリートマスター」があります。この教材は地理、歴史、公民の授業の大事な部分をまとめたテキストと効率の良いCD教材になっています。
CDの講義は、地理、歴史、公民の3分野すべて合わせて13時間に凝縮されており、全体の流れを短時間でつかむことができます。教材の中で、大事な語句の説明をするだけでなく気を付けるべき漢字や、漢字指定されることの多い語句についてもピックアップしているため、漢字対策にも非常に有効です。
塾の授業では理解が追い付かなかったもの、忘れてしまったものの復習をしながら、並行して漢字対策もできるので、社会の得点力を身につけていくのにとても心強い教材になっています。
まとめ
今回は中学受験の社会において、なぜ漢字指定がされるようになったのかという背景とともに、漢字指定対策としてどのような取り組みが必要かということを実際に出題されている入試問題を例に挙げて紹介しました。
今後も社会において、漢字指定に問題は一定数出題される見込みです。確実に合格に必要な点数を取るためにも、お子様には早いうちからきちんと漢字で覚える大切さを伝えていくようにしましょう。社会は積み重ねが必要な科目なので、早いうちから習慣づけておくことで確実に周囲と差をつけられるようになるとともに、得意科目にしていくことができます。
社会の漢字対策が思うように進まないとき、漢字が足を引っ張って社会の点数が伸び悩んだり、子どもが苦手意識を感じたりしてしまったときには、スタディアップの教材を活用して社会の知識の定着を図りながら漢字のチェックをするのがおすすめです。中でも人気のある「コンプリートマスター」は、社会で重要な項目がわかりやすくまとめられており、全体像をつかむのに適しています。苦手な単元の克服や、理解があまりできていないところの確認、全体の復習に活用するのに便利です。テキスト教材だけでなく、テキスト内容の講義CDが用意されているので目からだけでなく耳からも知識を入れることができます。講義内で重要キーワードや漢字についての注意もされるので、漢字対策にも効果的な教材です。
社会の漢字指定問題は短時間では対策できないため、いざとなった時に慌てないためにも早めのうちから漢字で覚えるように意識してみましょう。難関中学、人気中学によっては、6年生には難しい漢字も書けるかどうか試されることがあります。難関中学を狙っている人は、基本的な漢字は書けて当然の状態で挑むようにしましょう。