中学受験 理科で出てくる天体とは?実際の入試問題も分かりやすく解説!

天体は知識を整理して覚えておかなければならない単元です。天体だけでも覚えるべき情報が多くありますが、最近では天体の知識と時事問題と絡めて出題されることも多くなっています。

問題の出題パターンが増えているため、入試問題で『初めて見るパターンの問題だ』と感じてわからない、解けない、と勘違いしてしまう子も少なくありません。

天体の問題を解けるようにするためには、ここまでで伝えた通り、ただ覚えるべき知識を頭に入れるだけでなく、知識を活用できるところまで仕上げることが必要です。この記事では、覚えるべき知識と活用の方法を紹介しますので、受験に向けて整理をしてみましょう。

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目次

中学受験 理科で出てくる天体に関する基礎知識

中学受験の理科の科目で出てくる天体の問題は、星の名前や様々な天体のメカニズムが存在し覚える事がたくさんあります。

ここでは中学受験で理科が苦手と言う方のために、中学受験で出てくる天体とはどんな問題なのか説明したいと思います。

基本的に中学受験で出てくる天体に関する問題は穴埋め問題と選択式の問題となっています。

地球から観測できる天体とはどんなものかが特に中心となります。太陽と月の働きは地球にも多大な影響を与える為、天体とは何かを問う際に最も基本的な問題として出題されます。

中学受験の理科では太陽や月以外にも星座に関する問題も度々出題されています。

星座に関しては構成する星の名前が日本語ではないものも多いため、覚えるのに苦戦する生徒が多く、併せて星座の方角や季節などを暗記しないといけないため難易度の高い部分となっています。

また学校によっては星座早見盤を利用した問題を出題してくる学校もあります。星座早見盤に関する問題は暗記だけでは解くのが難しく実際に使って覚えておくことをオススメします。

このように天体は覚える事が多いため自分の得手不得手を理解し、反復練習をして用語や関連語句を暗記するようにしましょう。

月について

まずは、月がどのようなものかという基本情報をおさえておきましょう。月の表面はボコボコとしているのが特徴で、このくぼみがクレーターです。

クレーターは昔、隕石が月にぶつかったときにできたくぼみで、白っぽい部分が見える部分のことを陸や高地、黒っぽく見える部分のことを海といいます。海と言われるものの地球上にある海とは異なり、実際に水があるわけではありません。あくまで名称として、呼ばれているだけなのです。

月面を望遠鏡で観察したときに、クレーターのほとんどは円形に見えるのが特徴ですが、周辺にあるクレーターは細長い縁に見えることから、地球と同じく月は球形であることが証明できます。月が丸いとされる理由を求められたときに覚えておくといいでしょう。

月の満ち欠け

月の満ち欠けは月の単元の中でも特によく出題される内容です。ただ、満ち欠けでの月の名前を覚えるだけではなく、なぜ満ち欠けをするのかという仕組みを確認していきましょう。

月の満ち欠けとは

月の満ち欠けとは、月の形が規則的に変化するように見えることです。地球と月と太陽の位置が変化することによってさまざまな形に月が見えるという現象が起きます。


月の満ち欠けは順番が決まっており、新月、三日月、上限月、満月、下弦の月、新月という流れです。全く月が見えない状態から、少しずつ大きくなりきれいなまん丸い満月になり、だんだんと欠けていき、全く見えない新月の状態に戻ります。

月の名前の中でも間違えやすいのが上弦の月と下弦の月です。どちらも半月ですが、上弦の月は月が沈むときに弦が上を向いている状態の半月、下限の月は弦が下を向いている状態の半月を指します。この2つの違いや見分け方を答える問題はよく出題されるので、必ず覚えておきましょう。


また月の満ち欠けにはそれぞれ月齢が関係しています。月齢は新月から数えて何日経っているのか計算した日数のことで、月の満ち欠けの周期が一周するのにかかる日数は、新月から数えて29.5日ほどです。

月齢0が新月、月齢2が三日月、月齢7が上弦の月、月齢15が満月、月齢22が下弦の月、月齢27として26の月が加わった後、月齢0の新月に戻りますので、月齢とそれぞれの月の関係を覚えておくと問題を解きやすくなるでしょう。

なぜ月の満ち欠けが起こるのか

ここからは、なぜ月の満ち欠けが起こるのかを考えてみましょう。月の満ち欠けが起きるのは、実際に月が増えたり欠けたりしているわけではなく、あくまでも見かけ上の運動です。

月は常に丸い形をしています。ただし、地球から見ていると、月に太陽の光が当たって明るい所と、太陽が当たっていない暗いところがあり、月の位置によって地球から見える月の明るい部分の割合が変化することから満ち欠けが発生するのです。

地球は自転、月は公転をしており、月は地球の周りをぐるぐる周りつつ、地球は自分でくるくると回転してる状態です。月が公転しているからこそ、地球と月、太陽の位置関係が変化して、月の光っている部分の見え方が変化した結果、月の満ち欠けが発生します。

この満ち欠けの仕組みについては、小学校の理科の実験などで、ボールと懐中電灯を使って様々な場所から光を当てて満ち欠けを見る実験が行われる学校もあるでしょう。もし、実験を学校でしていない人は、月と地球に見立てたボールを用意して、太陽光に見立てて懐中電灯を当てた状態で動かしてみましょう。そうすると、月の場所によって月の光っている部分が変わって満ち欠けが起こる仕組みを実際に体験することができます。お家でも簡単にできる実験ですので、月の満ち欠けが今ひとつよく分からない場合は試してみてください。

月食と日食

月を語る上で欠かせない項目の1つに、月食と日食があります。こちらもテストにでやすい項目となっているので、チェックしておきましょう。

月食と日食はその名の通り、月が太陽によって食べられたように隠れてしまう、または太陽が月によって食べられたように隠れてしまう状態のことを指します。片方が片方に隠れてしまって見えなくなる状態になるのです。

太陽と月は実際は離れた位置にありますので、直接食べてしまうわけではありません。月の満ち欠け同様、地球から見たら太陽が月に隠れてしまってみえなくなる、または月が太陽に重なって見えなくなる瞬間のことを指します。

月は地球の周りを公転しており、太陽とは離れた距離を保っているため、日食や月食は滅多に起こることはありません。太陽と地球の間に月がやってきて、月に隠れて太陽が見えなくなる奇跡的なタイミングで起こるものであり、たまたま起こるものです。そのため、数十年ないし数百年に1度見られる貴重な瞬間として知られています。だからこそ、日食や月食があるときには、現象が入試で取り上げられることも多いのです。

月の公転

月が地球の周りをぐるぐる回っていることを公転といいます。月だけではなく星や太陽、地球はそれぞれが独立して何らかの形で動いています。それぞれの動き方によって、お互いの関係が変化することは、宇宙の神秘の1つです。

月が公転をする際、月は地球の周りを単純に回転運動しているわけではありません。らせん運動をしながら動いています。つまり地球と一緒に太陽の周りを移動しており、このらせん運動があるからこそ日食や月食が起きる瞬間があるのです。

先に紹介した通り、地球が公転することで、太陽の当たる部分が変化して月の満ち欠けが起きています。太陽の当たる部分が変わることで月の見えている部分が変わっており、1年を通して満月もすべてが同じように見えているわけではありません。時期によって大きく見えたり、色が違って見えたりと変化をします。満月を見上げるときには今まで見た満月と何が違うのか、比較して見ると天体の神秘を感じられます。

中学受験 理科の天体に関する問題

中学受験の理科で出題される天体に関する問題は覚える事が多く、学校によって出題傾向が違うため問題によっては点数が全く取れないことがある部分です。

ここでは中学受験をこれから控えている生徒のために理科の天体対策を説明したいと思います。

まず基本的なこととして自転、公転、地軸、衛星、恒星と言った基本的なメカニズムと語句を覚えておきましょう。

これらの問題は中学受験で基本中の基本で、応用問題を理解するにも必要なため、まずは基本語句を覚える事からしておきましょう。

また月の運行や季節の星座など単純に暗記するだけでは難しい問題も中学受験では出題されます。

星座の方角や形、月のメカニズムに関しては教科書だけでは覚えづらい部分です。

特に月のメカニズムは教科書の図解では二次元なため理解しづらく、満月の図解も太陽の光が地球の影に隠れて月に届いていない図を掲載している場合があります。

このように学校の授業だけでは理解しづらい天体のメカニズムは科学のドキュメント番組やネット上の動画を見て補完しましょう。

映像作品ならば三次元に解説し、太陽と月と地球の位置関係などを解説しているものもあるため、理科の勉強の心強い味方となってくれます。

また学校によっては緯度や時差に関する問題も出題されるため、学校ごとに合わせた試験対策を行いましょう。

過去問を入試し、同系統の問題を探すなどして対策を取ると効果的です。

点数を取りこぼさないように分からない部分に対してきちんと調べるようにしましょう。

実際の入試問題

ここからは、今までの情報をもとに実際の入試問題に挑戦してみましょう。解答も合わせて掲載しますので、問題が解き終わったら合わせてチェックしてみてください。

まずは2018年、開成中学校で実際に出された問題です。

問題:月は新月から満月となり再び新月にもどります。この変化は29.5日で繰り返されます。2018年最初の満月は1月2日でした。2018年の春分の日、空に明るく輝いて見える月の見え方についてあてはまるものを、月のア~オの中から1つ選び記号で答えなさい。

ア 満月のような丸い形の月が一晩中見える。
イ 半円のような形の月が、南のそらから西の空に見える。
ウ 半円のような形の月が、東の空から南の空に見える。
エ 三日月のような形の月が、東の空に見える。
オ 三日月のような形の月が、西の空に見える。

解答:の問題を答えるためには、月齢を正しく求めることが鍵になります。1月2日が満月だったということから、1月2日時点での月齢は15日、春分の日は3月20日または21日となりますので、観察者が見ている月の月齢を計算で出すことが必要です。

こちらの問題は非常に難しく、月齢が正しく分からない場合は、春分の日がいつか分からない、解けない、という仕組みになっています。

空に明るく輝いて見えるという表現から、これは昼ではなく夜のことだと判断できます。そうすると、月の形から月齢2日~3日頃の月であることがわかり、方角が西の空であれば月齢3日頃の右が10%見える月であることが確定しますので、解答はオであることがわかるでしょう。

この問題を解く際には、ここまで考えてきた過程を頭の中で整理しようとすると混乱してしまいます。そこで、テストの余白部分を利用して1月2日の月齢が何かをメモしたり、イラストを描いてみたりすると、一気にわかりやすくなります。問題用紙の余白部分であれば何を書いても問題ありませんので、形や時間帯、方角や傾きをチェックして、自分なりに情報をまとめていくようにしましょう。

月の満ち欠け問題は、今回取り上げた問題用に文章のみで推察を立てなければならない非常に高難易度なものから、問題中にイラストが描かれており、イラストを参考にしたり、イラストの中から選択肢を選んだりする問題までさまざまなタイプがあります。いずれの問題も月齢や月の満ち欠け、月を観測している時間帯、見ている方角が問題を解くカギとなりますので、問題文を正確に読み解いて解答を求めましょう。

太陽

月と地球に密接に関係している惑星の代表格の1つが太陽です。こからは太陽について知っておくと受験対策に便利な事柄をまとめていきます。

太陽は地球と比べると非常に大きい気体の集まりで、体積は地球の130万倍、重さは地球の33万倍あるのが特徴です。太陽も地球同様に自転しており、地球と同じ向きで自転しています。


太陽には黒点と呼ばれる黒い点があり、この黒点が太陽の表面について太陽の活動と共に移動していることから、太陽が自転していることが証明できるでしょう。太陽の中心温度は1500万度、表面が6000度で、黒点部分は4500度と周囲に比べると少し低めです。この温度差があるからこそ、黒点部分のみが黒く見えるようになっています。

ちなみに、物体から放たれる光の色は、その温度によって決まります。熱を含んでいる熱いものが赤いように見えることが多いと思いますが、同じ色の恒星は表面温度も同じとされており、北極星と太陽は同じ黄色をしているため、表面温度も太陽と同じです。

ただし、月の色も黄色=太陽と同じ温度というわけではありません。月は自分が光を放っているわけではなく、あくまで太陽の光を反射して黄色く見えているだけですので、太陽とは表面温度が異なります。同じ色だと同じ温度という観念に囚われて、本質を見誤らないようにだけは気を付けましょう。

南中高度

月の満ち欠けや太陽を語る上で忘れてはいけないのが、南中高度です。南中高度は太陽と地球の関係について、ギリシアのエラトステネスが解いた理論で、世界で最初に地球を図った人物として知られています。

これはアレキサンドリアの真南に位置するシエネにおいて、夏至の日の正午になると、毎年井戸の底まで日興が届いたことから、シエネの天頂に太陽が位置すると気がつきました。


そして同時刻、アレキサンドリアでの太陽の位置は天頂から7.2度離れておおり、シエネとアレキサンドリアの距離が925㎞離れていることがわかっていたことから、地球を球体と考えたときに円周全体が4万6250㎞であると計算を求めたのです。このようにエラトステネスが求めた計算式は、実際の距離との誤差が16%という非常に高い数値で宛てられています。ここから南中高度を組み合わせると、緯度を求めることも可能です。

夏至の日におけるシエネの南中高度は90度なため、90度-シエネの移動+23.4度=90度(南中高度)となり、シエネの緯度は23.4度である事がわかります。

太陽との関係性や南中高度の話がわかると、このように緯度についても求められるため、こうした受験問題が出てくる場合もあるでしょう。

星座

天体の問題をマスターする際、合わせて星座についても確認しておかなければなりません。星座は星空に表れる星と星を線で結んで動物や人物に見立てたものであり、想像のものです。季節によって観測できる星座が異なります。

春の星座、夏の星座、秋の星座、冬の星座というように、4つの季節に分けて覚えておくと、問題を解く際に便利です。ただし、季節の星座を全て覚えるとなると覚える量が膨大にあります。そこで、メインとなる星座に絞って覚えておきましょう。


季節の星座として覚えておきたいのは、季節ごとに2つずつ、全部で8つの星座があります。春の星座はおとめ座としし座、夏の星座はかに座といて座、秋の星座はみずがめ座とペガスス座、冬の星座はふたご座とオリオン座です。その他にもさまざまな星座が季節によって観測できますが、これら8つの星座が受験問題に出てくることが多いため、まずはこの8つから覚えておくと良いでしょう。

14個の一等星

こちらも受験問題としてよく出てくるのが、14個(二等星を加えた場合15個)の一等星です。一等星は全てが太陽のように明るい光を放つ星のことで、受験問題にも頻繁に現れます。こちらも星座同様、春夏冬と季節によっていろいろな種類があるのが特徴です。

季節の大三角ベースで考えると、春の大三角を司るのがアルクトゥルス、レグルス(二等星であるデネボラが加えられることも)、スピカの3つ、夏の大三角がベガ、デネブ、アルタイル、アンタレスの4つ、冬の大三角がプロキオン、ベテルギウス、シリウス、リゲルに、カペラ、ポルックス、アルデバランの7つです。

これらの一等星ないし二等星は、星座を特定する際に用いられる他、季節を特定する際に用いられることが多いため、どの季節に見られるのか、何の星座に使われているのかを覚えておくと、受験問題に出てきたときに解きやすくなるでしょう。

まとめ

受験問題を解く上で役に立つ、月の満ち欠けや太陽、星座について解説しました。これらの知識は受験問題に出てこなかったとしても、覚えておいて損はない知識ですので、苦手意識を持たずにチェックしておきましょう。

どうしても苦手意識を持ってしまう場合、イラストや図解を用いて勉強するとイメージがしやすくなります。実際にボールを使ってみたり、夜空を観察してみるだけで印象が変わりますので、理科の問題に苦手意識がある方はぜひともやってみてはいかがでしょうか。最低限抑えておきたいポイントだけでも抑えておくと、受験対策の際に役立ちます。

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