中学受験 理科の滑車は動画で勉強しよう!問題の解き方や考え方も紹介

中学受験 理科の滑車

中学受験の理科は苦手、嫌いといったネガティブなイメージが持たれやすいです。だからこそ、早いうちに対策をしてできるようになると、周りと差をつけることができます。特に物理は苦手な子が多いため、得意にしておくととても強い武器になります。

なかでも得意不得意の差が出やすい単元の一つが滑車です。余り入試に出ないという印象が持たれがちですが、中堅校以上の男子校を中心に、物理分野の問題として出題が目立ちます。最近では生物・地学・化学・物理の4分野をまんべんなく出題する学校が増えており、物理の分野で滑車が出題されることは増えているのです。

滑車は基本部分は決して難しくないですし、コツをつかめばうまく応用して取り組むことができます。そこで、この記事では苦手意識が持たれやすい滑車について、問題の解き方・考え方のコツを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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目次

中学受験 理科の滑車に関する基礎知識

中学受験でも度々扱われるばねや滑車のメカニズムは教科書を一見するだけでは難しいものがあり、学校の先生方も教えるのに悩む難所と言えます。

滑車は小さな力で大きなものを動かす際に使われる道具ですが、この道具の仕組みを応用した問題には計算する問題もあるため、ただ丸暗記するだけでは解けず、きちんとした理解が求められます。

そこでオススメするのが動画を見てばねや滑車のメカニズムを勉強する方法です。

動画ならば教科書の図では分からない実際の映像で教えてくれる他に、分かりやすい解説が入っているものや実際に滑車やばねを使って生徒が興味を引くような面白い実験を行っているものも存在します。

このため理科が苦手な生徒の方でも動画ならば見るだけなので覚えやすく、休憩の合間に見る生徒もいらっしゃいます。

動画はNHKの教育番組のサイトで配信されているや参考書に付属しているものがあり、サイトで配信されているものはネット環境さえあれば無料で見られるものも多いためオススメとなっています。

また図書館にはこのような教育番組の動画があるため、気になる方は近場の図書館に訪れて調べてみるといいでしょう。

定滑車と動滑車

まずは、定滑車と動滑車の違いを確認しましょう。滑車には2種類あり、この2種類の特徴を正しく把握できていないと問題を正しく解くことができません。滑車が苦手な子の多くは、2つの違い、特徴を理解していないことで、ミスが出たり、混乱をしたりすることが考えられます。違いを理解すれば、シンプルに解けるようになり、苦手意識も払拭できるでしょう。

定滑車

定滑車とは、中心の軸が固定されてるものをいいます。定滑車に吊るされた重りはロープを下に引くと引いた距離と同じ距離が上に上がります。そのためロープを引く力は同じ重さか、それ以上の力が必要といえます。

基本的に引っ張った距離がそのままおもりの動いた距離になる、引っ張った力がおもりにかかる力、ということでそんなに難しい仕組みはありません。複数定滑車を組み合わせても、距離やおもりをひく重さには大きな影響はないため、滑車は必要ないのでは?と思われるかもしれません。複数の定滑車を組み合わせることにより、力の向きを変えることができるというのが定滑車のメリットです。組み合わせることでおもりを引き上げるために上に向けて糸を引っ張るだけでなく、下向きに引っ張っておもりを動かすことができるようにもなります。

動滑車

軸が固定されず、紐を引くと滑車自体を上下に動かすことができるのが動滑車です。支点から同じ距離に滑車が天井に固定される紐と人が引く紐がある形になるため、半分の力で引き上げることができます。そのため、少ない力で物を持ち上げることが可能です。

ただし、紐を引き上げる距離は2倍必要になります。軽い力でおもりを動かすことができるようになるものの、長い距離を引かないと定滑車と同じ運動をすることができません。また、力の方向を変えることができないのも定滑車と違う点です。紐を上に引き上げるのではなく下に引く形にしたいと思ったら、定滑車を間に入れる必要があります。

滑車の基本的な考え方

定滑車と動滑車がどのような特徴なのかを紹介しました。では、具体的に問題を解くにあたってどのようなことを考えていくのかを説明していきます。

滑車の基本原理

先ほどまでに書かれていた内容を再度まとめると以下のようになります。

・定滑車のルール
①糸を引き上げる距離=おもりの移動する距離
②糸を引く力=おもりの重さ

・動滑車のルール
①糸を引き上げる距離=おもりが移動する距離の2倍
②糸を引く力=おもりの半分の重さ

重要なポイント

上のルールだけを見ると『定滑車は引っ張る距離も重さも元の滑車と同じなら、動滑車を使ったほうが得じゃないか』と思いませんか?たしかに、おもりの重さははんぶんになるので負担が軽くなったように見えます。しかし、最終的に同じおもりを同じ距離だけ引き上げるなら、仕事の量は変わらないことを理解しておくようにしましょう。

例えば、100gのおもりを10㎝引き上げるとします。

定滑車の場合には、
100gのおもりを10㎝、おもりが動く通りの力がかかります。

そのためおもりを動かすのにかかる力(モーメント)は、
100(g)×10(㎝)=1000
です。

それに対して動滑車の場合には、
距離が2倍になるので20㎝
重さが半分になるので50gとなります。

このときのモーメントは
50(g)×20(㎝)=1000
です。

このように、最終的にかかる力は定滑車でも動滑車でも同じになるという点は理解しておきましょう。

滑車を得意にするために必要なこと

ここまで、滑車の基本ルールについて説明をしました。ルールだけを理解していても問題は解けるようになりません。では、滑車の問題が得意になるためには、どのようなことに取り組むと良いのでしょうか。この4つを段階的に踏んでいくようにしましょう。

まずは1つの滑車だけの基本問題から取り組む

どんなことでも基礎が身についていないと問題は溶けるようになりません。そこで、滑車でも基礎中の基礎から取り組んでいきましょう。

まずは、定滑車と動滑車がそれぞれ1つだけの簡単な問題から取り組んで、定滑車と動滑車のルールを完璧にしていきます。言葉では『定滑車はおもりの重さと糸を引く力が変わらない』ということを頭に入れていても、いざ問題になるとそれが実践できないものです。

物理の問題が苦手な人は、まずは問題を見て『定滑車か動滑車か』の見分けから始めてみましょう。定滑車と動滑車の見分けが完璧になったら、合わせて『定滑車だからおもりの重さと糸を引く重さが同じ、距離も同じ』とか『動滑車だからおもりの重さの半分の重さ分を引けばよいけれど、糸を引く距離は2倍必要』といった、基礎知識を確認していきます。

このとき、問題が解けそうであれば、どんどん解き進めて構いません。ただ、苦手意識の強い人や、物理が苦手な人の場合には、見分けがついても問題を解こうとすると混乱したり気持ちが焦って解けないものです。そこで、まずは見分けと、それぞれの滑車を目にしてルールを完璧に思い出せるところから取り組んでみましょう。

図に書き込む習慣を身につけていく

定滑車と動滑車の見分けがついて、なおかつそれぞれの特徴も正しく言えるようになったら、早速問題に取り組んでいきます。最初のうちの簡単なものであれば、問題を見て暗算で答えを出すことができるものも多いです。しかし、複雑になってくると頭の中では混乱をしがちですし、解くのに時間もかかってしまいます。そこで、スピーディーに正確に解けるようにするためにも、図に情報を書き込んでいく習慣をつけていきましょう。

図に書き込む情報としては、それぞれの糸にかかるおもりの重さや引く距離は外せません。ただ、その際に数字で書かなくても、記号で情報を書くというのも一つの方法です。糸にかかる重さが同じところに●をつけていけば、その中心となる場所には2つ分かかるようになります。このように、●を使ってかかる力を可視化していけば、全体のつり合いがわかりやすく、考えた経過が残って見直しや間違えた時の解き直しもすぐに取り掛かれるのです。

この●を使って書く方法は、計算するよりもスピーディーに取り組めるため、基礎を身につけるための練習として活用するのにとても適しています。もちろん、実力がついてからも、情報整理のために●で解いてから最後に計算しても全く問題ありません。最後に●1つ分が何gかを計算し、まとめて計算するようにすれば計算する場面を最小限にでき、計算ミス防止にもなります。

滑車だけの複合問題に取り組んでみる

●を使って図に書き込む練習ができれば、一通り滑車の知識は身に付き使いこなせるレベルになっています。そこで、滑車の複合問題に取り組んでいきましょう。

滑車の複合問題になってくると、糸を引く力や距離だけでなく、天井にかかる力や滑車にかかる力といった問題も出てくるようになります。糸の力だけでなく、全体の上向きの力と下向きの力を考えることも必要です。それぞれの糸にかかる力を出していけば、天井とつながっている糸にかかる力が天井にかかる力なので、決して難しくはありません。基本問題同様に一つひとつ解いていけば、自然と答えは出せるようになります。

滑車とてこ、輪軸、浮力など物理分野の複合問題に挑戦してみる

滑車が苦手と言われるのは、入試レベルの問題になると、複合問題になって出題されるのが理由です。複合問題も見た目で毛嫌いされがちですが、決して難しいものではありません。基礎をきちんと理解しておけば、段階的に1つずつ解いていけば答えを出せるようになります。

まず、前提として、滑車同様にてこや輪軸、浮力といった別の単元についても基礎内容まではきちんと把握しておきましょう。基礎が理解できていなければ、問題を解こうとしても解くことができません。どれか一つでも苦手な分野がある場合には、基礎的な問題は解ける状態にしておきましょう。

基礎内容はすべて理解できていれば、それまで理解した通りに問題を解き進めていくだけです。わかっている数字の部分には●を書き入れたり、かかる力の数字を書き入れたり、といった作業を一つずつ進めていけば、答えは出せます。

ここで大事なのは滑車以外にてこなど別の力のかけ方の問題が出てくるので、混乱せずに解き進めていくことです。そのひもが何(てこや滑車、天井など)にかかっているのか、というのを一つずつ丁寧に確認し、その時の力のかかり方の関係(同じ・半分・逆比など)をルールに合わせて当てはめていけば十分解けます。

慣れるまではその確認作業がうまくできずにミスが出たり、混乱したりしがちです。眺めていても答えがわかるようになるものではないですから、解答を見て、図に情報を書き込みながらどう解けばよいのかを確認していきましょう。何度も図に書き入れながら問題を解いていけば、コツがつかめて溶けるようになります。

まとめ

この記事では、苦手意識を持たれることも多い、滑車の問題を解くときのコツを紹介していきました。まずは定滑車と動滑車の見分けがつき、なおかつそれぞれの特徴を理解することが大切です。最初から問題を解こうとせず、まずは両者の見分けから始めてみましょう。

きちんと見分けがついて、特徴も理解できるようになったら演習問題に進みます。まずは滑車が1つだけの問題から解き進め、少しずつ複合問題に取り組みましょう。その際、図の中に情報を書き入れる習慣をつけることが上達のコツです。繰り返していくことで、複合問題になっても情報を整理して解き進められるようになりますよ。

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