中学受験は「親の受験」と称されることもあります。一般的に、お子様が中学受験するとはいってもまだ12歳、11歳です。幼い部分も残る年齢であるため、受験生の誰もが自分で自発的に目標設定し、計画的に勉強できるとは限りません。
そこで中学受験をする際不安になるのは共働き家庭の場合です。仕事があり、ゆっくりと子どもたちと過ごす時間の確保が難しくなると、どのように子どもたちの受験にかかわっていくべきか悩むところです。とはいえ、生活もありますし、塾の費用のこともありますから、保護者が仕事を辞めてつきっきりでサポートするのが難しい家庭も多いでしょう。
この記事では、共働き家庭が中学受験を検討することは難しいのかどうか、また、可能な場合は共働き過程で中学受験を乗り切るためにはどのような方法があるのかを、家庭学習と塾選びにポイントを絞って紹介をします。
先に結論!共働き家庭でも中学受験はできる
当たり前に思われるかもしれませんが、共働き家庭であっても受験をすることはできますし、しっかりと結果を出すこともできます。共働きで子どもたちと過ごす時間は限られることもありますが、かかわりの長さよりも内容が大切です。また、子どもたちも保護者が一生懸命仕事をしている姿や、頑張っている様子を見ることで「自分も頑張ろう」という気持ちを持つきっかけにもなります。そのため、共働きであることがマイナスになるとは限らないのです。
とはいえ、中学受験は誰もが簡単に乗り越えられるものではありません。取り組むことも多いですし、学校見学や志望校選びなど大人が加わっていかなければならないこともたくさんあります。そこで、中学受験を乗り越えるためには塾選びと家庭学習での取り組みがポイントになってきます。
共働き家庭で受験を乗り切るための家庭学習の取り組み
共働き家庭で受験を乗り切るためには、家庭学習をどのような形で進めて管理するかが大切になってきます。どのようなことに気を付けると良いのでしょう。
土日の有効利用
土日は子どもたちも保護者も自宅にいるケースが多いです。子どもたちにとってもたくさんある塾の宿題を確実にこなしていくためには土日をうまく使っていくことが大切になります。そこで、土日は勉強時間を確保するとともに、宿題の進捗や塾の学習内容の理解度を確認する時間を設けるようにしましょう。
はじめのうちは土日の両方を使っても課題が終わらないということも少なくありません。やるべきことも多いですし、塾の授業の内容が理解できておらず終わらせるのに時間がかかるということもあります。そこで、優先順位を考えてやるべきことを決めたり、塾で質問すべき内容を指示したり、といったことをして、少しずつどうやって勉強を勧めればよいのかを教えていくようにしましょう。
受験勉強をはじめたときには「勉強の仕方」というものがわかっていない子もとても多いです。どのように勉強を進めればよいのかということを理解しながら進めていくようにすると、少しずつ子どもたちも良いサイクルで勉強が進められるようになります。
毎週のスケジュールを平日のうちに立てておく
もちろん、毎週必ず土日の両方で終日勉強するという必要はありません。学校行事が入ることもありますし、たまには家族で出かけたいということもあるでしょう。時期になれば学校見学も入ってきます。
そこで、毎週のスケジュールは平日の早いうちや、前の週の土日のうちに立てておくことを心がけましょう。「土曜日に模試がある」となれば、土曜日は半日勉強ができないということになります。そこで、平日のうちに終わらせるべきことを配分しておいたり、テスト対策として取り組みたいものを平日のどこかに組み込んだりという工夫が必要です。
勉強すべきことや、課題の進め方といった勉強のスケジューリングは子どもたちがすべてできることが望ましいことですが、とても難しく、なかなかできるものではありません。最終的に子どもたちが自分でできるようにならなければいつまでも保護者が管理しなければならなくなるなりますし、自分でできなければ成績はどんどん下降していくでしょう。そこで、最終的には自立自走できるようになることを目指しながら、保護者が自宅で声掛けをしたり、一緒にスケジューリングをしたりすることを心がけていきます。
初めのうちは子どもたちも何をすればいいかすべて保護者に聞いてくることも少なくありません。慣れるまでは保護者からやるべきことの指示をしつつも、少しずつ自分で考えさせるようにしていきます。初めは時間がかかってしまいますが、慣れてくれば少しずつ自分たちでもやるべきことが見えてきて、自発的に進められるようになります。
夫婦で役割分担を明確にしておく
共働き家庭の場合には、土日には家事もやることが多くあります。普段なかなかできない掃除をしたり、食事のつくりおきをしたりする家庭もあるでしょう。そこにさらに子どもの勉強を教えたり、やるべきことの指示をしたり、といったことが入ってくるとかなり大変です。
そこで、夫婦でやるべきことの分担をしっかりとしておくようにしましょう。2人ともがきちんと受験をさせることに納得してから受験をスタートさせないとうまくいかないです。どちらかが非協力的な状態では子どもも受験勉強のモチベーション維持が難しくなってきます。
そこで、受験勉強をスタートさせる前に、しっかりと夫婦で受験をさせたいのか、勉強はどちらが見るのか、土日の家事分担はどのようにするのか、といったことを話し合っておきましょう。学校見学や塾の保護者会、面談についても、どちらが参加するようにするのか話し合っておくとスムーズです。一昔前までは塾の保護者会や面談も母親が参加する家庭が多かったですが、最近は共働き家庭が増えたこと、父親が受験勉強に参加する家庭が増えたことで、父親の参加率も高くなっています。
共働き家庭での塾選びのポイント
共働き家庭にかかわらず、受験で合格するためには塾選びは欠かせない要素です。塾を選ぶ基準はいろいろとありますが、共働き家庭の場合には、特に注目したいポイントがいくつかあります。
自習室がある塾を選ぶ
共働き家庭だと、塾のない日は子どもが家で一人きりで過ごす時間ができることが多いです。一人の間にちゃんと宿題をすることができれば良いですが、たまの塾のないオフ日となるとテレビやインターネットをだらだらと見てしまうことも少なくありません。
そこで利用したいのが自習室です。自習室に行けば、テレビもないですし、インターネットを見ることも難しくなるので嫌でも勉強することができます。塾の先生も声をかけてくれるので、質問に答えてもらうこともできますし、保護者の代わりに進捗を見てもらえるので安心です。
塾が無い日でも、決まった時間に塾に行き、自習室で勉強するようにすれば、毎日の学習時間がきちんと確保できるようになりますし、ルーティン化することができるので無理なく勉強の流れを作ることができます。
自習室で勉強することは、学習習慣が身につくだけでなく、受験への意識を高めるのにも効果的です。自習室に行き始めたからといって最初から集中して勉強できるわけではありません。しかし通っているあいだに塾の先生から声をかけてもらえたり、同級生や先輩が勉強している姿に刺激されたりして次第に意識が高まっていきます。
中には同級生と約束して授業のない日もお弁当を持って行って長い時間勉強するという子もいます。自発的に自習室に行けるようになると、子どもたちも苦にならず、楽しみながら勉強をすることができ、好循環を作り出すことができます。
アクセスが良く一人でも通えるところ
共働き家庭の場合、塾に子どもが行く時間に家に保護者がいないということも多いです。そうすると、子どもは自分で支度をして塾まで行くことになります。塾までのアクセスが悪く、電車やバスの乗り継ぎが必要であったり、駅から塾までが遠く道も暗かったりすると保護者も塾までの移動が不安です。子どもたち自身もアクセスが良くないと通うのを嫌がることがあります。
そこで、子どもが一人でも通いやすいよう、アクセスの良い塾を選ぶことをおすすめします。家の近くに塾がなく、徒歩だけで行くことが難しいことも多いです。電車やバスを利用して塾まで行くことになったとしても、乗り継ぎは極力少ない場所を選び、駅やバス停から近いところを選ぶのがよいでしょう。
家庭によっては帰りも子どもが一人で帰ることになる場合もあります。その際には街灯があり明るいことや、大通りで人通りがあることも事前に確認しておくと安心です。塾によっては駅まで先生が引率してくれるところもあります。駅までの道があまり良くない場合には、先生の引率の有無を確認してみましょう。
入退室管理カードを取り入れている塾も安心です。子どもがスマホを持っていなくても、塾に到着したり、帰路に着いたりしたことがメールで確認できます。
学習の管理体制が整っているところ
最近では塾でもタブレット学習や動画学習を取り入れているところが増えています。タブレットや動画視聴での勉強は子どもが遊んでしまったり集中できなかったりすることを心配する保護者も少なくありません。しかし、タブレットが導入されることにはメリットも多いです。
まずは学習状況が保護者も塾も管理しやすい点です。課題の提出状況や動画の視聴履歴など、やるべきことができているか、できていない場合にはどれに取り組めば良いかがすぐにわかります。チェックも自宅だけでなく、通勤の合間を活用してできるので、忙しい共働き家庭でも対応しやすいのもメリットです。
もちろん、子どもたちがタブレットやパソコンで遊んでしまうリスクはあります。しかし、メリットも多いので、きちんと活用していけるよう、子どもたちと約束を決めて取り組んでいくことが望ましいでしょう。
子どもが楽しく通うことのできるところ
これは共働き家庭だけでなく、すべての家庭に言えることですが、子どもたちが塾に通うことが楽しいと思えなければ続けることができません。特に共働き家庭の場合には、子どもたちが塾に向かう時間に自宅に保護者がいないというケースが多いです。子どもたちが塾に行きたいと思えない場合には、学校から家に帰ってきたら塾に向かいたくないという気持ちになってしまいサボってしまったり、ダラダラと向かって遅刻をしたりといったことが続いてしまうこともあります。
保護者が帰宅してから塾に行っていないことに気付くようなことが続くと、親子共にどんどんと受験へのモチベーション維持が難しくなってしまいますし、衝突することも増えてしまいます。塾の宿題も子どもが取り組まなくなってしまう可能性も高いです。
そこで、子どもたちが自発的に塾に通いたいと思えるところに通わせるよう心がけましょう。良い流れができれば、きちんと塾にも授業時間前に通うようになりますし、塾の宿題も一人で取り組むようになります。自習室にも積極的に通うようになるでしょう。
子どもが楽しく通える塾には様々なタイプがあり、子どもによっても合う塾は違います。授業が楽しいとか先生がフレンドリーとかということが大切な子もいれば、塾の友達との関係が大切という子もいます。優先順位は子どもによって違うので、塾に通う前にしっかりと授業見学や体験授業を経験して、子どもたちと保護者がどのような塾に通いたいかを話し合って決めることが大切です。見学や体験も複数のところに足を運ぶと比較検討ができ、子どもたちも保護者もどのような塾が合っているのかが明確になり、相性の良い塾が見つけやすいです。
まとめ
共働き家庭だと忙しくて子どもに中学受験をさせることは難しいのではないかと思われがちですが、そのようなことはありません。世の中には共働き家庭でも子どもたちが中学受験をして、希望の進路に進んでいるという家庭も多くあります。
ただし、保護者が子どもたちと一緒に過ごせる時間に限りがあること、塾への送迎が難しい場合があることから、塾選びや家庭内での話し合いがとても大切です。受験勉強を見切り発車ですすめると家族で意見の違いから衝突してしまうことも少なくありません。事前にしっかりと話し合い、納得したうえで受験勉強を始めることが大切です。