中学受験の過去問の効果的なやり方と合格へ導く演習方法

中学受験を考えている受験生にとって必ず必要になってくるのが、過去問演習です。過去問を解かずして志望校には合格できません。志望校の過去問を解くことで、志望校の傾向や難易度、自分のレベルとの差を把握することができます。

しかし、ただ過去問を解くだけでは効果的な対策はできません。解き始める時期や解く目的を十分に把握する必要があります。この記事では中学受験における過去問の進め方、効果的な演習方法について解説します。

目次

過去問を解く前に知っておくべき過去問演習の目的

過去問を解く前に知っておくべき目的は大きく分けて5つあります。以下の通りです。

  •  どのような問題が出やすいのか、傾向を把握する
  •  難度を把握する
  •  試験時間や配点、問題量、また解答用紙の形式などを確認する
  •  入試本番を意識し実践力を養うため
  •  子どもと問題の相性を確認するため

それぞれ解説していきます。

どのような問題が出やすいのか、傾向を把握する

これは過去問演習を行う上で最も大切なことです。受験では問題を通して、学校が欲しい人材を選別します。そのため過去問演習を通して「こういう考え方ができる学生が欲しい」「最低でもこのレベルの問題は解ける学生が欲しい」という中学校からのメッセージを読み取るのです。
数年分過去問を解き、似たような形式や問題がないか確認します。また逆にほとんど出題されてない単元や問題形式も把握します。そうすることで、効率よく志望校に向けての学習をすることができます。要するに、出題形式、傾向を把握して効率よく勉強するために過去問演習を行うのです。

難度を把握する

各教科の難易度や単元別での出題難易度を把握しましょう。学校によって理系科目が難しいところや文系科目が簡単なところ、全体的に難易度はバランスが取れているところと様々です。難易度を知ることで普段の学習で力を入れるべき科目や捨てる科目が分かり、戦略的に受験に挑むことができます。また時間をかけて解くべき問題、解く順番も考えることができます。

試験時間や配点、問題量、また解答用紙の形式などを確認する

記述が多いのか、それとも選択問題が多いのか、どれぐらいの分量で1問あたりにかけることのできる時間はどれくらいなのか、確認しましょう。記述が多い場合は普段から書く練習をする必要がありますが、選択問題が多い場合は書く練習はそれほど必要ありません。また時間が足りない場合は、早く解けるようになるための勉強をしなければいけません。また配点を把握しておくことで問題の優先順位を考えることもできます。

入試本番を意識し実践力を養うため

同じ学校の過去問を解くことで、時間配分や問題を解く順番、取捨選択などの実践力を養うことができます。志望校の過去問の特徴が見えてくると思います。
また解く時間が足りなくて問題が解けなかったのか、そもそも問題を理解できていなかったのか、見直しの時間が足りなかったのか、自分の弱点が分かります。自分の弱点がわかっていることで受験本番に自分が気をつけるべき点がわかるので、少し心に余裕ができるはずです。
過去問を解くときは常に本番を意識して解くようにしましょう。

子どもと問題の相性を確認するため

いくら模試の成績が良く、判定が良かったとしても、志望校の過去問と相性が合わなければ、合格することはできません。同じ偏差値の学校の過去問を解いたとしても点数や結果が大きく異なる場合があります。子どもが行きたい学校を受験することが一番いいのですが、問題と子どもの相性を見て志望校を考えるのも一つの判断材料として考えてください。

過去問演習に備えて親がやるべきこと

過去問の入手

まずは過去問を入手することから始めます。過去問の入手方法は大きく分けて3つあります。

  • 赤本(過去問題集)を購入する
  • 志望校から直接入手、問題をもらう、購入する
  • 四谷大塚(ここに内部リンク)からダウンロードして印刷する

赤本(過去問題集)を購入する

赤本には数年分の全科目過去問、解説、解答用紙、入手結果、学校情報などが掲載されています。そのため受験校の入試傾向を掴みやすいです。そのため過去問を用意する上では一番おすすめの方法です。
赤本は増版がないので、なるべく早い時期から購入するようにしましょう。また必ず最新版の赤本を購入するようにしてください。情報が更新されていたり、出題傾向の変化があるためです。

志望校から直接入手、問題をもらう、購入する

オープンキャンパスなどで過去問が配られる場合があるので、その際は必ずもらっておきましょう。志望校から直接もらえるメリットしては、文字の大きさやフォント、紙の大きさ、解答欄のレイアウトなどが本番と同じようになっている場合が多いことです。そのため、より本番に近い形式で過去問演習をすることができます。赤本にプラスして入手できる場合はしておきましょう。

四谷大塚からダウンロードして印刷する

入試問題と解答用紙がPDF化してあり、誰でも無料でダウンロードすることができます。すぐに用意でき、お金もかからないことがメリットですが、解説がありません。ですので、自分がどうして間違えてしまったのかわからなくなる場合があります。そのためこの方法はあまりオススメできません。
この方法は赤本にプラスアルファとして使用するものだと考えてください。

問題用紙・解答用紙の準備

赤本を使用する場合もできるだけ、問題用紙、解答用紙を印刷してください。なぜなら、赤本の場合文字や解答欄が小さく書ききれないことや、本が勝手に閉じてしまったりするからです。本番ではプリント形式で出題される場合がほとんどです。ですので、出来るだけ本番に合わせた問題用紙、解答用紙を準備してください。

本番に合わせた状況で集中できる環境を整えておく

テレビが近くにあったり、机の上に物が置いている状態では過去問演習に取り組まないでください。机には過去問と筆記用具、時計など出来るだけ本番に合わせた環境で、過去問を解くようにしてください。そうすることで、いつもの勉強とは違った緊張感で問題に取り組むことができるはずです。

過去問はいつから取り組むべき?

過去問の取り組む時期について悩まれる方が多いかと思います。今あなたが小学6年生なら今すぐにでも始めていいと思います。早い時期から解くことで、入試傾向が早い段階からわかり対策がしやすいです。入試問題を解いてどこが自分の弱点なのか、集中的に勉強する科目や単元はどこなのか分かります。
集中的に過去問演習に取り組み始めるのは9月からで大丈夫です。なるべく早く余裕を持って過去問の取り組みましょう。
小学5年生以下の人たちは余程の余裕がない限り過去問を解かなくても大丈夫です。

過去問に着手するのは基本がを固めてから

過去問を解くのはなるべく早い時期からと言いましたが、基礎基本がおそろかな状態で解くのはやめましょう。なぜなら過去問を解いても解けない問題ばかりでは自分の弱点や勉強すべき項目が分からないからです。1年分の過去問を無駄にするだけになってしまいます。

何年分くらいの過去問をやるべきか

第一志望の学校は最低でも10年分は解きたいです。第二志望は5年分は解いてもください。滑り止めに関しては2-3年分程度で大丈夫です。過去問演習は量をこなすことで傾向が見えてきたり、問題慣れする部分があるので、ある程度の年数分はやりましょう。

中学受験の過去問の実践ポイント

目標を決める、まずは合格最低点を目指す

具体的に点数を決めてください。そうすることで、目標が明確になりどれぐらいの問題を正解すれば良いのか見えてきます。まずは合格最低点を目指して過去問演習を行いましょう。すでに合格最低点が取れている人は合格最低点+20点ほどをコンスタントに取れるようにしましょう。

見直し振り返りをする

過去問演習では見直し振り返りを必ずしてください。どのような問題で間違えたのか、間違えた原因はなんなのか明確に理解した上で次の過去問に取り組みましょう。またどれくらい点数が足りなかったのか、どの単元が苦手なのかも把握しましょう。そうすることで次の過去問演習で得点するための戦略を立てることができます。
例えば、「漢字、語句の問題で時間をかけ過ぎていたから、わからなかったら飛ばして次の問題に行こう」「計算はほとんど合ってたから、文章問題に時間をかけよう」「ばねの単元が苦手だから、基礎の復習をしよう」などのように具体的に今の自分に足りていない部分や改善すべき部分を考えましょう。この作業を繰り返すことで、得点アップに繋がります。

繰り返すことで得点が上がっていく

同じ過去問を一度解いたらそれで終わってはいけません。間違えた問題を中心に再び解き直すようにしてください。本番では過去問で出題された問題の類似問題が出題される場合があります。そのため過去問一つひとつを繰り返し、わからない問題を減らしていくことで、得点が上がっていきます。一度解いたら終わりにされがちな過去問ですが、わからない問題がなくなるまで何度も繰り返して解くようにしましょう。

その他過去問演習をおこなう上で注意するべき点

カンニング対策をする

過去問で合格点を取りたいがためにカンニングをしてしまう場合があります。そのため解説用紙は保護者が持っておく、過去問をそのまま子どもに渡さない、過去問演習中は参考書や教科書を保護者が管理するなどのカンニング対策を行うようにしてください。カンニングするメリットは何一つありません。カンニングをできない環境作りが大切です。

丸つけは子ども一人にやらせない

丸つけを行うときに、大体合っているから丸をつける子や得点が欲しいがために間違っていても丸をつける子がいます。ですので必ず丸つけを行うときは保護者もしくは指導者と一緒に行うようにしてください。丸つけは振り返りに繋がる大切なことなので、子ども一人にやらせないようにしましょう。

まとめ

  • 過去問を解く目的を把握して取り組むことが大切
  • なるべく早い時期から過去問に取り組む
  • 第一志望は10年分、第二志望は5年分最低でも取り組む
  • 見直し振り返りをして自分の弱点、改善点を見つける
  • 保護者はカンニング対策を行う

いかがだったでしょうか。中学受験における過去問の取り組み方について理解していただけたと思います。過去問演習は志望校合格に直結する大切な学習なので、今回お伝えした内容を踏まえて、効率よく取り組んでいきましょう。最後までご覧いただきありがとうございました。

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