中学受験を受けるにあたって、「受験前に絶対に取り組んでほしい」と言えるのが、受験する中学校の過去の入試問題(過去問)です。過去問に取り組むことで、その中学校の入試問題の特徴を掴むことができるので、掴んだ特徴をもとにして受験勉強を進めていけば、中学受験本番で良い点数を取ることが可能になります。また、間違った問題を何度も解き直すことで弱点を克服することもできます。
一般的に中学受験で社会の過去問を解き始めるのは9月以降からと言われています。ですが、多くの中学受験生はいつから勉強したら良いのかと悩んでいる場合が多く、早すぎても遅すぎても、悪い影響がでてしまう場合があるのです。
どんな悪い影響かと言いますと、あまりにも早すぎると問題が難しすぎて、自信をなくしたり、時間を無駄にしてしまったりします。遅すぎる場合は、勉強時間が足りなくなり、過去問を解くのが間に合わないといった事が起こってしまい、後悔する事になります。早すぎたらレベルが違い過ぎる、遅すぎても間に合わないといったジレンマがあり、多くの方が過去問をいつから始めたら良いのか、その開始時期に悩んでいるのです。
中学受験の社会、過去問の開始時期はいつ?
6年生で大手進学塾に通っている場合、9月からは、どこかの中学の社会の過去問を解かされたり、志望校の過去問を宿題で解いてくるように指示されたりするかもしれません。
もしくは、個別指導塾や家庭教師を中心に学習している場合は、いつから過去問を始めれば良いのか不安に思う生徒もいるかと思います。
実際に、6年生の子を持つ保護者の方で、9月・10月にわたしのもとへ寄せられる相談には、過去問に関する相談がほとんどです。その中でも、一番多かった悩みをここで2つ紹介します。
小学6年生の9月・10月に多い過去問に関する悩み
- 社会の過去問を始める時期が全く分かりません。どのタイミングで始めれば良いのでしょうか。(解き始める時期で悩むパターン)
- 塾で志望校の過去問を解くように指示されたが、社会の知識があまり固まっていないのか、過去問を解いても半分以上間違えている。そして、それをそのまま塾に持って行って提出し、担当の先生から宿題をこなしたという確認の印鑑をもらう。こんな感じで本当によろしいのでしょうか。とても不安です。 (効果的な過去問学習が出来ていないパターン)
6年生の保護者の方からいただく質問は、ほとんどの相談がこの2つのどちらかです。
この2つの質問を総括してお話します。 まず、直前期のこの9月・10月から社会の成績が伸びる生徒は、たった1パターンしかありません。それは、「重要な知識の土台」が出来ている生徒だけです。
ほとんどの受験生は、夏期講習が終わった6年生の9月からは、そろそろ過去問に取りかからないといけないという意識で、何となく過去問を購入して解き始めようとする方も多いのですが、この考え方は大変危険です。 このままの意識では、この時期の貴重な時間を浪費するどころか、入試を社会で失敗してしまう可能性が出てきます。
中学入試を社会で失敗してしまうケース
ここは明確にイメージしてもらいたいので、例を挙げて説明します。
直前期の貴重な時間を無駄にしてしまう過去問の流れ
重要知識の土台がない状態
↓
10月1日 過去問にて 日本地理の問題で、【宇部市 = セメント工業】 という組み合わせを選ばせる記号問題を間違える。
↓
ここで、宇部市 = セメント工業という確認作業は行う
↓
10月5日 過去問にて 日本地理の問題で、【広島市 = 自動車工業】 という組み合わせを選ばせる記号問題を間違える。
↓
今度は、広島市 = 自動車工業という確認作業を行う
この具体例を見て、事の重大さが分かりますか。こんな過去問の取り組み方では、自ら入試を社会で失敗しに行っているようなものです。ですが、このように過去問に取り組む子が毎年本当に多いんです。
本来、過去問の解き始める理想のタイミングというのは、重要知識の土台がある状態、ここで言えば、地理分野の中国地方という単元の重要事項をしっかりと覚えたあとの段階なのです。
重要な知識の土台がないままの状態で、社会の過去問を解いた結果、絶対に落としてはいけないような易しい問題を当然間違えてしまいます。
一応は解くたびに、間違えた問題に関しては正しい解答をみて、確認する作業はしていますが、過去問で間違えた問題というのは当然順番も単元もバラバラです。
中学入試を社会で成功するケース
正しい過去問の流れ(この流れしかありません)は、以下の通りになります。
重要知識の土台がある
↓
10月1日 過去問にて 日本地理の問題で、【宇部 = セメント工業】 正解○
↓
10月5日 過去問にて 日本地理の問題で、【広島 = 自動車工業】 正解○
このように、理想の形で効率よく過去問を解き進めることができます。もちろん、過去問の中には少し難しい問題や正答率の低い問題もあります。
中学受験の社会の過去問に取りかかる前の大前提を知っておく
ここで注意してもらいたいのは、ここで話しているのは、重要知識の土台があれば、必ず得点できるような問題を落としてはいけないということです。そのレベルの問題を落としているようでは、過去問を解きはじめる資格がないということです。
そういった問題が全て正解できるような知識の土台があって、初めて過去問を解くスタートラインに立つことができると考えて下さい。 一般的な開始時期は6年生の9月以降ですが、現在の学力と合わせて考えてみて下さい。ある程度の重要知識の土台ががないと過去問を解いてもほとんど意味はありません。ですから、知識の土台が出来てきた後に始めるのが理想です。
過去問を解く事で、今の理解度、レベルを知る事ができ、どういった位置に自分がいるかが分かり、志望校を目指す上での目安になります。試しに過去問をする時の注意事項ですけど、自分のレベルを知る事が大切で問題を完璧に正解できたかどうかは、あまり重要視しなくて良いでしょう。その点を深く考えすぎると、自信をなくしてしまうので注意したいです。
中学受験の過去問で時間内に解けない問題は捨てる戦略も大事
このように、過去問に取り組むことには、多くのメリットがあるわけですが、実戦形式ですべての問題を解ききるということに対しては、一筋縄ではいかないこともあると思います。つまり、いくら頑張って解こうとしても、どうしても解けない問題も中にはあるということです。
ですから、もしも時間内に「いくら頑張っても解けない」という問題があった場合は、「その問題を捨てる」という判断をさせることも必要になってきます。
親御さんとしては「一問も外せない」という気持ちがあるかもしれませんが、中学受験の学力試験は、「満点を取らなければいけない」ということではありません。むしろ、得点できる問題から確実に解こうとして、覚えきれていない、複雑な記述問題に時間をかけていると、その問題以降に解ける単純暗記の問題があっても、「時間が足りなくて解けなかった」という、最悪の事態を招くことにもなりかねません。
ほとんどの中学校では、1つの科目につき、合格最低点が大体6割~7割程度になるよう、入試問題を作成している場合が多いです。つまり、合格最高点の満点を取っても、合格最低点の70点を取っても、どちらも結果的には「合格」であることに変わりはないということです。
すべての問題を解ききろうとする以前に「合格最低点を1点でも上回って合格する」ということを目指しましょう。これまで頑張って勉強してきたわけですから、何点を取ろうが、合格できれば目標を達成したことになるはずです。
ですから、社会の過去問に取り組む過程で、「時間内に解けない問題は捨てる」という練習をさせ、2点でも4点でも多く得点に繋がる解き方をさせましょう。
【重要!】中学受験直前、それでも間に合わないと感じた時の社会対策方法
これから直前期を迎える6年生へ!ここからの直前期は、社会に本気で取り組んだ人が「社会で合格」を勝ち取れます。今まで社会を後回しにしてきて、今になって時間をかけようとしても、何から手をつけてよいのかサッパリ分からず諦めている方は毎年数え切れないほどいます。
そんな社会が手遅れになりかけている方へ、現在の社会の偏差値が 【50未満】【51~59】【60以上だが難関校・人気校狙い】の3つに分けて最高に効率の良い6年生向けの勉強法を下記でこっそり公開中です!
まとめ
中学受験のための過去問の開始時期は、社会の重要知識の土台が出来てからなので、ハッキリ言うと人それぞれになります。ですから、厳密にいつから始めるべきと言及できません。
しかし、お子様それぞれの適切な開始時期はありますので、それを見極める事も大切です。まずは、重要知識の土台をしっかりと作ってから過去問にとりかかりましょう。