中学受験の関西圏で、社会を選択する3科目受験,4科目受験はどちらが有利か?

中学受験の関西圏で、社会を選択する3科目受験,4科目受験はどちらが有利か?

「中学受験は関西圏だと3科目受験が有利?」「4科目受験の方がいい?」といった疑問を抱いている方は多いでしょう。

中学受験を関西圏で行う上で何科目を受験するかは非常に大事ですよね。

そこでこの記事では、関西圏で3科目・4科目を受験するメリットについて徹底解説していきます。有名中学校の採点方法も取り上げていくので、関西圏で中学受験を検討している保護者の方は是非参考にしてくださいね!

目次

中学受験の関西圏で社会が選択科目の場合はどうするか?

中学受験では、社会という科目自体が必要ない場合と、社会を受けるかどうか選択できる場合があります。

これは、受験する地域によって若干異なってきます。関東では、4科目(人気校・難関校以外では、一部の中学で
国語・算数の2科目受験もあるが、原則は4科目受験)なのに対して、関西圏での中学受験は事情が異なります。

関西圏の人気中学校の受験科目

受験科目中学校名
国語・算数・理科灘中学(兵庫)
甲陽学院中学(兵庫)
国語・算数・理科
社会(希望者のみ選択)
東大寺学園中学(奈良)
大阪星光学院中学(大阪)
洛星中学(京都)
西大和学園中学(奈良)
清風南海中学(大阪)
国語・算数・理科・社会四天王寺中学(大阪)
神戸女学院中学(兵庫)

この表をみると分かる通り、最難関の灘中学や、甲陽学院中学では、そもそも社会という科目が存在しないため、受験科目が国語・算数・理科の3教科のみになっていますが、それ以外の受験生が志望するような人気校・難関校では、国語・算数・理科は必須で、社会は受験するかどうか選択できる中学が増えています。

さらに、四天王寺中学や、神戸女学院中学のような上位校であっても、社会が選択科目ではなく必須科目の中学もあります。

実際に、次のようなメールを保護者の方からいただきます。

野村先生、いつも大変お世話になっております。

今回メールいたしましたのは、関西での中学受験についてです。

ご存知かと思いますが、関西では、3科受験というものがあります。サピックスのカリキュラムでも、
5年生からは、社会か、特算かを選択しなければなりません。特算は、灘に合わせた難しい算数です。

わが子は東大寺学園を志望しているのですが、東大寺の場合は、4科で受験した方が有利という声もありますが、算数もなかなか難しく、特算も捨て難い気がいたします。

でも、やはり社会の授業を選択すべきでしょうか。

保護者の方からのメール内容

今回の方は、奈良県の東大寺学園を志望校としていますが、人気中学・難関中学を受験する予定の方で、3科目受験か4科目受験かの選択で悩まれている方からの相談を毎年数多くもらいます。

そこでこの記事では、3科目受験と4科目受験を対比する形で分かりやすくまとめてみました。

それぞれメリット・デメリットがあると思いますので、それを全て知った上で、真剣に考え、どちらを取るか選択してみましょう。

※なお、わたしが社会科講師だからといって、4科目受験が有利なような方に偏って考えてはいません。あくまでも、お子さんの負担を最大限軽くするために、一番良い選択をしてもらいたいという思いで書いていますのでご安心下さい。

中学受験の関西圏で3科目を受験するメリット

3科目を受験するメリット
  • 社会に割く時間を他の3科目に回せる
    →何よりも一番の魅力はやはり、社会を学習しなくて良いこと。

つまり、社会の勉強(多くの時間は暗記)にかける時間が一切ないというのは、その分の時間を国語・算数・理科に費やすことができるのが唯一無二のメリットです。

中学受験の関西圏で4科目を受験するメリット

一方で、中学受験の関西圏で4科目を受験するメリットを見ていきましょう。

4科目を受験するメリット
  • 志望校選びの選択肢が増える
  • 入試制度が変わった場合も対応できる
  • 国語や算数の平均点が極端に低い年に有利
  • 当日に1科目失敗してしまっても挽回ができる

それでは、順番に解説していきます。

【メリットその1】志望校選びの選択肢が増える

社会が出来ることで志望校選びの選択肢が大幅に増えます。3科目受験では当たり前ですが、社会が必須の中学は受験できません。

特に女子校は、社会が必須となっている人気校が多いので、男子に比べて社会が出来た方が志望校選びの選択肢がさらに広がります。

このあたりは、志望校のホームページで入試情報を早いうちから確認するようにしましょう。

【メリットその2】入試制度が変わった場合も対応できる

3科目受験から4科目受験に切り替えていく風潮があるので、例えば、現在低学年の方で入試が当分先ですと、入試制度が変わった場合に対応しやすいと思います。

※中学に入ったら社会が必須なのに、中学入試で社会が不要なのはいかがなものかという風潮もあり、4科目受験に切り替える中学もある。しかも、中学受験で社会を勉強したかどうかで、中学に入学した後の定期テストに取り組みやすさが全然違う(中学で学ぶ社会は中学受験で学ぶ内容が知識の土台となってきます)。

【メリットその3】国語や算数の平均点が極端に低い年に有利

難関校では、年によって国語や算数の難易度が極端にあがり、平均点が低くなる年があります(基本的にはそうならないように中学側も科目ごとの平均点が違わないように配慮していると思いますが、それでも国語や算数の難易度が高く、平均点が極端に低くなる年はあります)。

しかし、社会を選択している場合は、3科目の総合点と4科目の総合点の高い方を選んでもらえますので、社会を選択していた方が有利になります。なおかつ、暗記科目である社会は入試本番の得点でも波がない科目です。

それがどれだけ入試本番心強いことかお分かりになるかと思います。

【メリットその4】当日に1科目失敗してしまっても挽回ができる

人気中学を目指す受験生は、それこそ塾でもハイレベルな国語や算数の授業を受けて、相当量の演習を積んだ受験生の母集団です。

そんな中で、実力通りの力を出せば、問題ないはずだった子でさえも、緊張と問題との相性が重なって、入試当日に国語の出題された長文との相性が悪く読解で失敗した、算数で大問1つ分を丸々計算ミスしたなど、力を出せないケースは誰にでも当てはまると思います。

3科目受験の場合、1科目の失敗を残りの2科目で補おうとしたら、1科目あたりの負担は大きくなり、その挽回は容易ではありません。しかし、3科目受験・4科目受験いずれか好きな方を選択出来る場合は、1科目の失敗が薄まるため、当然科目数が多い4科目受験の方が有利になってくるのです。

このように、3科目受験と4科目受験にはそれぞれメリットとデメリットがあります。一番手っ取り早いのは、志望校をしっかりと分析することですので、まずは、各中学のホームページで掲載してある募集要項を確認するようにしましょう。

ここでは、参考例として、東大寺学園中学、大阪星光学院中学校、西大和学園中学校、各校の採点方法を取り上げてみます。※社会が選択科目の場合、それぞれ中学校ごとに採点時の計算式が異なります。

2017年度東大寺学園中学募集要項

4教科(国語・算数・理科・社会) または3教科(国語・算数・理科)の選択。4教科受験生は各教科100点の400点満点の合計と、国算理の3教科の合計の4/3倍のうち高い方を総合点とします。3教科受験生は得点(300点満点)を4/3倍して400点に換算します。

2017年度東大寺学園中学募集要項 東大寺学園ホームページより一部抜粋

つまり、こういうことです。国語・算数・理科の3教科で受験する場合は、その3教科の合計点の4/3倍が自分の得点になります。

逆に、4教科受験を選択した場合、

  • 4教科の合計点
  • 国語・算数・理科の合計点の4/3倍

このいずれかの合計点が高い方を得点としてくれるのです。

2016年度大阪星光学院中学校 生徒募集要項

Ⅰ型受験:以下①~③の最高点を受験生の成績とします。
①4科目合計点
②国語・算数・理科の合計×1.25 点
③国語・算数・社会の合計×1.25 点
Ⅱ型受験:国語・算数・理科の合計×1.25 点を受験生の成績とします。
※Ⅰ型・Ⅱ型の区別はせず、いずれも 400 点満点で判定します。

2016年度大阪星光学院中学校 生徒募集要項 大阪星光学院ホームページより一部抜粋

2016年度西大和学園中学校 生徒募集要項

4科受験と3科受験の選択式
4科受験は、国語・算数・理科の合計の5/4倍と4教科合計の高い方を総合点とする。
3科受験は、国語・算数・理科の合計の5/4倍を総合点とする。

2016年度西大和学園中学校 生徒募集要項 西大和学園ホームページより一部抜粋

これらの募集要項を見て分かるように、単純に社会を選択している子はチャンスが拡がるということです。社会を一定以上のレベルに仕上げておけば、3科目受験よりも、有利に入試を運ぶことができるのがお分かりでしょうか。少なくとも、社会をしっかりやって損をしたということはどの中学の結果を見てもありえません。

もちろん、中学校によって若干の違いはあるものの、暗記科目である社会は、覚えたら覚えた分だけ得点につながる科目ですので、真剣に取り組めば、入試を有利に運ぶことができる可能性は飛躍的に高まります。

ただし、一番避けてほしいのは、それこそ4科型を選択したのはいいものの、社会の学習時間を十分にとらず、それに加え、国語・算数もそれなりにしか対策せずに、最終的に3科目選択で受験するということです(このパターンが一番危険なので、必ず選択するときは慎重に選択しましょう)。

なお、関西圏の受験生の保護者の方から良くいただく声で、次のような相談を受けることがあります。

関西圏で受験を考えている5年生です。今は3科目受験に絞って勉強していますが、算数が思った以上に伸びずに、3科目か4科目受験で非常に悩んでいます。

社会も勉強するメリットとしては、4科目やっていると、受験校の選択の幅が広がる点や、社会が得意だと、他の受験生との差がつきやすいというのは重々承知しています。

しかし、今からですと、塾で社会の講座を申し込んだとしても、社会の勉強が途中からになってしまい、結局、社会も中途半端になってしまう点も心配です。

やはり、そうであるならば、社会を選択せずに3科で受験した方が良いものでしょうか。この点、どのようにお考えでしょうか。

非常に興味深い質問ですね。この悩みは、何も関西圏だけでなく、4科目受験が必須の方で、途中から塾に通い始めたため、社会が途中からになっている方にも参考になる質問ですね。

ずばり結論から言いますと、社会の勉強は塾に通うから伸びるものではありません。家庭学習でしっかりと暗記をするからこそ伸びるものなのです。

例えば、わたしがプロデュースしている「コンプリートマスターCD」は、塾に通わなくても、塾で授業を受ける以上の内容を家庭学習の中だけで実践できます。CD形式で地理・歴史・公民の全分野が約13時間程度の講義にまとまっています。

他にも、インターネットで授業が受けられるものもあれば、市販の参考書や問題集の中には、丁寧な説明があるもの、活用しやすいものもたくさんあります。※市販の参考書の詳しい選び方に関しては、拙著『中学受験 第一志望に合格したいなら「社会」の後回しは危険です』(ダイヤモンド社) の第3章をご覧下さい。

授業の部分は、そういったものを活用して、その上で、実際に家庭学習の中でしっかりと暗記する時間を取っていただければ、何も絶対に塾の社会が必須だということもありません。社会は家庭学習でこそ伸びるものですので、安心して社会に取り組んでいきましょう。

もしも3科目受験に絞り、社会を一切勉強しないと決めるのであれば、それも一つの選択肢として大いにありだと思います。ただし、その場合は、国語、算数、理科を徹底的に対策し、本番でどれか一つでも失敗した場合は不合格の可能性が高くなってしまうことを意識しておいて下さい。

逆に4科目で受験する場合であれば、社会で点が取れて、受験者平均点を超えるレベルまで仕上げることが絶対条件になってきますが、社会ができるようになれば、受験校の選択肢は増えますし、3科目受験よりもチャンスが多いので、4科目受験を是非前向きに考えてみましょう。

まとめ

関西圏で3科目受験に絞って学習するなら、その3科目は入試本番で絶対に失敗できないし、どの科目も得意科目にするくらいに仕上げること!

逆に、4科目受験を選択するならば、中途半端な気持ちで社会に取り組まない。社会は暗記科目だからやればやった分だけ伸びる科目。必ず点が取れるレベルまで仕上げること!

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