中学受験をするにあたっては、複数の学校を併願受験していくのが一般的です。中高一貫校の中学・高校というのは、多感な時期に生活の一番多くの時間を過ごす場所になります。そのため、保護者だけでなく、子どもたちが合っていると思える学校、子どもたちが通いたいと思える学校を選ぶことが大切です。
志望校が決まらないと、子どもたちも目標が見えず中学受験の勉強がつらくなることもあります。また、志望校が決まらないと過去問演習や併願戦略を練ることができません。できるだけ早く方針を決めて、合格に向けて進めるためにも、第一志望はもちろんのこと併願校については慎重にかつ早めに決めることが求められます。
そこで、今回は中学受験において失敗しない志望校の決め方や選ぶ際のポイントを紹介していきます。これから志望校を決める人、まだ志望校が決まらない人はこれを参考に志望校について考えてみてはいかがでしょう。
中学受験で志望校を決めるための3つのポイント
中学受験で志望校を決めるためには3つの大切なポイントがあります。この3つをもとに、どのような学校を志望校にしていくか考えていきましょう。一つずつ紹介していきます。
まずは様々な中学校に足を運んでみる
特に首都圏エリアでの中学入試の場合には、両親が子供のころに地方に住んでいたことで、首都圏の中学受験事情や学校情報がないというケースも多いです。また、今住んでいる地域に子どものころから住んでいたとしても、自身が中学受験をしていないと私立中学や国公立中学の雰囲気や学校の特色を理解していないというケースもあります。そこで、学校ごとの特色を知るためにも、中学校の学校説明会や文化祭などの行事に足を運んでみましょう。
もしも今住んでいる地域で中学受験をしていたとしても、学校説明会、学校見学は必須です。どの学校も10年から20年の間に学校改革を行い、変化をしています。そのため昔のイメージとは大きく変わっている学校も少なくありません。実際に足を運ぶことにより、家からの距離や学校の雰囲気、教育方針、実際に通っている生徒たちの様子など、学校のホームページやパンフレットからではわからない情報が得られます。まずは先入観を持たず、幅広い学校に足を向けてみましょう。
志望校の条件を家族で話し合う
色々な学校を見学した後に行うべきことが、家族での話し合いです。保護者と子どもとでは志望校に対しての考え方も違います。場合によっては、父親と母親で意見が合わないこともあるでしょう。そこで、それぞれの見学しての感想をもとに、家族としてどのような学校が好みなのかを整理し、志望校のイメージを決めていきます。
具体的には、男子校・女子校などの男女別学と共学、宗教教育の有無、教育方針、大学付属かどうか、などといった項目でどちらが良いかを絞っていきましょう。スポーツをしていたり、好きなことがある場合には、その部活がある学校を選ぶのも一つです。学校を絞り込む際に志望校の条件が決まっていると、学校の絞り込みができ、志望校が見つけやすくなります。
条件の優先順位を明確にする
多くの場合、志望校の条件は複数出てきます。しかし、そのすべてを満たすことができる学校というのはなかなかありません。例えば、共学であっても、大学付属ではなかったり、家から遠かったり、といったようにいくつかの部分は条件に合わない学校というのが出てくるのです。
そこで、条件が揃ったら優先順位を決めていきます。同じ共学志望の家庭でも優先順位というのは違ってくるものです。家からの距離が近いことが大切な家庭もあれば、大学付属であることが大切な家庭もありますし、修学旅行が海外であることが必須という家庭もあります。このように、譲れないものが何かがわかってくると、学校の絞り込みがしやすいです。
中学受験で志望校を決める際に避けるべきこと
中学受験で志望校がなかなか決まらないと焦りも出てきます。その際、以下のような行動は避けましょう。
偏差値で決める
中学受験というのは、保護者が主体となって志望校を決めていく場面が多くなります。保護者の中には「せっかく中学受験するなら少しでも偏差値の高いところに」と考える方もいるでしょう。また、偏差値を使えば、普段の模試の成績を参考にして、学校見学をしなくても偏差値表を見るだけで合格できそうな学校を簡単にピックアップすることもできます。しかし、どれだけ偏差値が高かったとしても、子どものタイプに合っていない中学校の場合は、通っても本当の意味で充実した学校生活をおくる可能性は高くはありません。最悪の場合は、学校が合わずに途中で退学をしたり、転校をしたりしてしまうケースもあります。
もちろん、志望校を決めていくときに偏差値は考えるべき要素の一つです。しかし、志望校を決める際には、数字だけで判断できないものが多くあります。あくまでも指標の一つであり、最優先事項とすることは避けましょう。
保護者が勝手に決める
塾に通わせながら、模試の結果をみたり、土日に一緒に学校見学に連れて行ったりするのは子どもだけでなく、引率する保護者も大変です。子どもたちも学校見学をしても感想が出てこなかったり行きたいと思えなかったりすることが続くと、保護者にとってはより一層志望校探しが負担になってくることもあります。そのようなとき「もうこの学校を志望校にするのでいいんじゃない?」といった気持ちになることもあるものです。
もし、子どもから志望校についての意見が出なかったとしても、なかなか思うような志望校が見つからなかったとしても、保護者が勝手に決めることはやめましょう。子どもにとっても、受験勉強を続けるモチベーションが維持できなくなります。また、もしも受験勉強がつらいと思ったときにも「自分は○○中学には行きたくない」とか「保護者が勝手に決めた」とかという言葉が出てくる原因になります。
周りが言うからその志望校にする
中学受験を志すきっかけの一つに、友達が受験するとか、身内など近しい知り合いが受験したとかということがあります。その際、その人たちの志望校や通っている学校を志望校に挙げがちです。実際に通っている人から話を聞いて好印象を持ったり、その人の人柄が素敵だったりすると、志望校にしたいと思うことはおかしなことではありません。しかし、それだけで安易に決めるのは危険です。
志望校にしたいと思ったら、実際に見学をしたうえで志望校にするかどうかの判断をするようにしましょう。もちろん、見学したうえで良い学校だと感じたり、家庭の方針と合致したりすれば志望校にしても問題ありません。大切なのは、他人からの情報をうのみにして志望校にしないということです。
中学受験における志望校決定のための学校選びのポイント
志望校を決定するために学校見学をする際、どのような点を確認しておくとよいのでしょうか。確認しておくと役立つポイントを3つ紹介します。
通学のしやすさ
入学したら毎日通学時間がかかることになります。そこで、通学のしやすさを確認するためにも、学校見学の際には車で行くのではなく実際に通学する際と同じように公共交通機関を利用して行くようにしましょう。学校見学とは別に、平日に登下校の時間帯に公共の乗り物を使って行き来してみると進学してからの電車の様子がイメージしやすいです。
同じ電車の乗車時間が30分であっても、駅から学校までは20分山を上らなければならなかったり、駅から近くても電車が混雑していたりするケースもあります。逆に、電車に乗っている時間は1時間でも行き帰り共に混雑しない路線で座って通えるというケースもあります。
大学進学実績
中学受験を志望する理由の一つとして、大学受験に有利という点があります。最近では大学付属が人気ですが、人気であるために難易度はとても高いです。そこで、大学付属ではなくても、大学受験に力を入れていたり、指定校推薦の枠が多かったりする学校を選択すれば、大学付属と同じような進学実績に期待をすることができます。
どの学校も学校説明会でも進学実績についての説明の時間を用意していますし、ホームページやパンフレットなどの資料でも簡単に進学実績については記載がされているものです。実績だけでなく、実績を出すためにどのような取り組みをしているのかという部分も確認しておきましょう。中には、一人ひとりの希望進路や学習状況に合わせて併願指導を実施する学校や、指定校推薦以外にも自己推薦にも力を入れている学校もあり、そのような学校を選択すれば大学受験の結果も期待が持てます。逆に、大学受験については併願指導は行わず、塾や予備校、生徒の希望に完全にゆだねるという学校もあるので、実績だけでなく進路指導のあり方の確認をしておくことはとても大切です。
個別説明は積極的に受ける
学校説明会の際、個別に質問ができるスペースを設けている学校があります。また、学校によっては個別での学校説明会を設けているという場合もあり、学校の先生と直接マンツーマンで話すことができることがあります。とても貴重な機会である反面、第一志望ではない場合には相談しにくいと遠慮してしまう保護者も少なくありません。
しかし、個別説明の場面では、学校説明会では聞けない有効な話がたくさん聞けるとても有効な場です。個別に話ができるので、気になっていることはなんでも聞くことができます。対応の先生の雰囲気から、子どもたちが好印象を持ち志望校となるケースも多いです。保護者としても子どもとしても、大多数に向けての説明会やパンフレットでは得られない情報がたくさん収集できる有効な機会ですから、積極的に利用しましょう。
実際の学校説明会でのポイントに関しては、下記の記事でも紹介しています。
まとめ
今回は中学受験で失敗しないために、志望校を決める際のポイントや、学校選びのポイントについて紹介をしました。子どもたちがモチベーションを維持して受験勉強をするためには、子ども自身も納得して志望校を決めることが大切です。保護者だけが勝手に決めるのではなく、子どもと話し合って志望校を決めていくようにしましょう。
志望校を決めるにあたっては、実際に子どもたちと足を運ぶことが大切です。色々な学校を見学し、まずは志望校に求める条件を整理し、次に優先順位を決め、志望校に落とし込んでいくようにしましょう。子どもたちと話し合いをしながら情報整理をすることで、保護者にとっても子どもにとっても志望校と思える学校を決めることができます。