中学受験において、志望校に合格するためには塾での学習だけでは不十分です。家庭学習が充実していなければ合格の可能性を高めることはできません。
そこで気になるのが学習時間です。一般的に6年生になると、どのくらい勉強時間の確保が必要になるのでしょう。もちろん量よりも質を重視しなければならないものではありますが、やはり周囲の受験生がどのくらい勉強しているのかは保護者にとって気になることです。今回は、受験生である小学6年生がどのくらいの学習時間を確保しているのか、そしてどのような学習を心がけると良いのか紹介していきます。
中学受験に必要な勉強時間
中学受験に合格するためにはどのくらいの学習時間が必要なのでしょう。一般的に学習時間の目安として「学年×10分」といったことが言われますが、中学受験においてはこの時間では圧倒的に足りません。そこで、いくつかのシーンに分けて一般的な小学6年生の受験生がどのくらい学習しているのかみてみましょう。
先に結論!6年生の平日の勉強時間は、「5時間前後」が最も多い
多くの小学6年生は週に何日か塾で学習をしています。塾がある日とない日では家庭学習できる時間にも変化が出てくるものです。
塾がある日
塾によって授業時間にも違いはありますが、集団指導の場合には18時から21時頃までは授業が行われます。そのため、前後の時間は通塾時間や食事、支度などにとられることを考えると、帰宅後に勉強できる時間は30分から1時間ほど、朝に勉強時間を作るとしてさらに1時間が限界となります。そのため、多くの受験生にとって、塾のある日の勉強時間は塾の授業も含めて5時間前後が一般的です。
塾がない日
塾が無い日も学校がありますから、勉強できるのは夕方からです。ただし通塾時間や支度の時間がとられない分、学習時間は長く取れるようになります。塾の時間も勉強したとしても16時から17時には勉強が始められるので、塾のある日に比べると1時間ほど長くなるのが一般的です。そのため、塾のない日の学習時間としては、6時間から7時間ほどになるでしょう。
休日の勉強時間
休日になると学校がないので朝から勉強が可能です。そのため学習時間は格段に増やすことができます。とはいえ、学校と同じ時間から行動して、朝早起きして夜遅くまで勉強するのは体を壊す原因です。そこで少しは休息時間を入れつつ勉強時間の確保を目指しましょう。
学校が休みでなおかつ塾もない場合には、休憩時間を多めに設けたり早めに寝たりしたとしても12時間ほどは勉強が可能です。うまく調整すれば13時間までは比較的確保しやすいので、時間を有効活用してできるだけ勉強時間の確保に努めましょう。
夏休みの勉強時間
夏休みになると学校がないため長時間の勉強が可能です。特に小学6年生にとっては学力を伸ばすためにとても大切な期間になります。そこで、少しでも上手に時間を使って塾の授業以外にも学習時間を確保して、勉強することが大切です。
塾に行く時間があったとしても、基本的には学校が休みの人同じく学習時間は12時間から13時間も受けるのが一般的と考えられています。塾の授業も長くなることが多いですし、空き時間ができることもあるので、自習室を有効利用することがポイントです。
本番直前の勉強時間
本番直前になるとラストスパートをかけるために、とにかくたくさん勉強しないと!という気持ちになる保護者や子どもたちは少なくありません。しかし、あまりにも勉強ばかりして無茶をすると体調を崩す原因となります。受験前だからといって特別なことをするのではなく、極力普段通りの生活を心がけましょう。
そこで、基本的には塾がある平日なら5時間から6時間、塾が無い日なら1時間ほどプラス、休みの日も12時間ほどを目指すのが望ましいです。体調を整えることや、本番でベストのパフォーマンスをすることが最優先となるので、早寝早起きや体調管理も心がけ、場合によっては少し勉強時間を減らして10時間程度にするのも有効です。
勉強するために必要な睡眠時間
勉強時間を捻出するためには、どうしても睡眠時間を削らなければならないことも出てきます。しかし、できれば避けたいものです。どのくらいの時間が小学6年生の睡眠時間として必要なのでしょう。
自分に合った勉強リズムを知る
勉強時間を確保するために睡眠時間を削ることは避けましょう。睡眠不足が続くと集中力が低下したり、授業に身が入らなくなったりするだけでなく、体調を崩す原因です。それだけでなく、発育阻害の原因となったり、新進のバランスを崩したりすることもあります。そこで睡眠時間は確保しながら勉強時間を確保することが大切です。
もちろん睡眠時間も適切な量は個人差があります。そのため普段の生活から、子どもの睡眠の質や適切な睡眠時間を把握することを心がけましょう。一般的には小学校6年生でも8時間睡眠が望ましいとされていますが、受験生には8時間の確保はなかなか難しいです。最低でも6時間、できれば8時間を目指しつつ、休日をうまく活用して睡眠時間の確保に努めましょう。
睡眠の質を高めるようにする
どうしても小学6年生の9月以降は学校に通いながら塾に通って、なおかつ家庭学習で過去問も始めるので時間に追われるようになります。そのため、思うようにやるべきことが進められず 、夜更かしをしてしまったり、睡眠時間を削ったりしなければならないことも出てくるものです。可能な限り睡眠時間を削らないようにしたいものですが、どうしようもないときには短い時間でもしっかりと疲れがとれるよう、睡眠の質を高めることを心がけてみましょう。
例えば、寝る前までスマホを見たり、テレビを見たりというのは睡眠を妨げる原因の一つです。寝る30分から1時間ほど前からスマホやテレビから出るブルーライトは避けることが良いとされています。音楽を聴くようにしたり、読書をしたりして少しずつ寝る準備をするようにしましょう。
効率のよい勉強方法
誰にとっても1日は24時間です。学校に行きながら塾の宿題をこなしてさらに模試の見直しや、過去問など様々な課題に取り組むとなると時間を確保するだけでなく、効率よく勉強することが求められます。具体的にどのようなことが求められるのでしょう。
時間感覚を身につける
時間の感覚は入試本番でも必要なものです。勉強時間の確保は大切ですが、長時間ただ机に向かっているだけでは効率的な勉強ができません。そこで時間を意識して取り組む習慣をつけましょう。
入試時間が50分の学校が第一志望の場合には、45分ほどに設定して課題に取り組むのがおすすめです。敢えて試験時間よりも短めに設定することで本番当日に見直し時間を確保しやすくなります。
勉強中に時間の管理がしやすいよう、目のつくところに時計を置くのも有効です。時間ばかり気にして集中できないタイプの子の場合には、時計ではなくキッチンタイマーを設置するのも良いでしょう。
すき間時間を活用する
日常の中にすき間時間というのは意外とたくさんあります。塾のお迎え待ち、勉強が終わって夕飯の支度ができるのを待つ時間、学校の支度が整って家を出るまでの時間…というように、様々な場面ですき間時間は存在しており、そのときによって長さも様々です。
そこですき間時間にできる勉強としてどういうものがあるのかを知っておき、すぐに取り組む習慣をつけましょう。歴史の年表を覚えたり、漢字の見直しをしたり、計算問題を解いたり、といった取り組むことができるものと、それにかかる時間を把握しておくと、できたすき間時間にすぐに取り組み、きちんと終わらせることができます。
すき間時間にすぐに取り組めるよう、暗記物のプリントは家の壁に貼っておいたり、暗記セットとして常に持ち歩いたりといった工夫をすると取り組みやすいです。
間違った問題はすぐに復習する
塾の宿題や過去問で間違えた問題は解きなおしが必要ですし、タイミングによって効果が大きく違ってきます。人間は覚えたことの半分以上を翌日には忘れるものです。そのため復習はすぐに行わないと身につきにくくなります。
せっかく復習したなら少しでも身につくようにしたいですし、取り組む時間も最小限にしたいものです。そこで、可能な限り当日中に復習をする習慣をつけるようにしましょう。塾から帰宅してからは遅くなり夜更かしの原因となるので、机の上にセットしておいて翌朝取り組むのが望ましいです。
適度に自由な時間を取り入れる
勉強に不慣れなうちはガチガチにスケジュールを組みがちです。しかし、多くの場合、予定通りに学習は進みません。そこで、遅れた部分がでてもリカバリーができるよう、学習時間を組む際には適度に余裕を持たせましょう。もちろん勉強だけのスケジュールを組むのではなく、休憩時間や場合によっては遊びや運動の時間を確保するのも有効です。
自分に合った勉強リズムを知る
人によって得意科目は違いますし、集中力が持続するタイミングも違います。得意な科目であれば疲れていても取り組むことができますが、苦手な科目だとどうしても集中できずダラダラしがちです。そこで、日々の勉強を通して自分が得意なものや苦手なもの、疲れていても取り組めるものを洗い出しておきましょう。
これは先に述べた、すき間時間の有効活用にもつながることです。塾のお迎え待ちの疲れた時間でも、暗記事項の確認をしたり計算問題を解いたり、漢字の書き取りをしたり、と人によって取り組みやすいことは違います。
苦手なものを早めに片づけた方が良かったり、得意なものから始めた方が勉強のリズムがとれてはかどりやすかったり、人によって勉強がスムーズに進められるパターンは違うものです。パターンが理解できていると、毎日の勉強をただ長時間こなすだけでなく、中身を充実したものにすることができます。
周囲の意見ばかり聞きすぎない
受験が近づいてくると様々なアドバイスをしてくる人が出てきます。実際に受験した人や志望校に通っている人の意見は参考になるものもありますし、同じようにしようと思いがちです。しかし勉強の方法というのは人によって合う・合わないがあります。そのため必ずしも同じようにしたからといって成績が上がったり、勉強が効率よく勧められたりするとは限りません。
もちろん実際に受験した人やその家族からのアドバイスというのは、参考になるものもあります。特にスランプのときにはアドバイスをもらうことで状況が好転することも少なくありません。あくまでもアドバイスは参考程度にしておき、無理に何もかも取り入れようとするのではなく、自分に合ったものや取り入れられそうなものを取り入れるようにしましょう。
寝る前に翌日の準備を必ずしておく
受験生になると寝不足になったり夜ふかししたりすることも多くなります。その日のうちにやりたいことがあっても、眠たくてもう限界が来てしまうということも少なくないです。朝起きてから慌てて学校に行く用意をしたり、バタバタしてやりたかったことができなかったりすると、どうしてもその日は一日うまくいかない悪循環に陥ってしまいやすくなります。逆に朝起きてからの行動がスムーズだとその日は良い日になってやりたいことが進められることが多いです。
寝る前に支度をしておけば朝の支度もすぐにできて、勉強時間も確保しやすくなります。朝起きてすぐは頭が働かず何をすればいいかわからないために時間を無駄にしてしまうことも少なくありません。やるべきこともピックアップしておけばすぐに行動できて時間を有効利用できます。また、寝る前に翌日やるべきことをまとめていることで、やるべきことが終わらず寝ることになっていても安心して寝ることができるという点でもメリットが高いです。
勉強以外の時間の過ごし方
受験生だからといって勉強以外の時間を作ってはいけないわけではありません。きちんとやるべきことをしていれば勉強以外にゲームをしたり、友達と遊んだり、早めに寝たりという時間は作っても問題ないです。勉強以外のスケジュールが入ることでモチベーションも高まり勉強に集中できることもあります。具体的にはどのように過ごせばよいのでしょう。
勉強したうえでの自由時間は何をしてもいい
もちろん勉強をしていなければ自由時間をとることはできません。休む暇があったら勉強をするべきです。しかし、きちんとやるべきことができていれば、自由時間は何をしても良い時間にしましょう。遊びに行っても良いですし、ゲームをしても良いです。とにかく自分がリフレッシュ時間を作ることが大切です。
人によって楽しめることは違います。小学6年生にもなると家族と過ごすよりも友達と過ごしたほうが楽しめるということも多いです。受験生同士だと予定を合わせるのも大変ですが、友達と予定を合わせて出かけるようにしたり、一緒に家で過ごしたり、お互いにリフレッシュできる時間を作るようにしましょう。
休むのに気が引けるなら読書や映画鑑賞を
受験生なのに勉強しない日ができるのは不安という子も意外といます。そのような場合には無理に休ませると逆にストレスを抱える原因です。とはいえずっと勉強し続けるのは受験までの道のりを考えると無理があります。そこで、ほどほどにリラックスができつつも勉強に関連することをするのがよいでしょう。
読書をしたり映画を観たりするのは受験に役立つ知識を身につけられながらも、リラックスした時間が作れておすすめです。読書も受験でよく出題される小説を読むのでも良いですし、日本の歴史や慣用句をまとめた受験生向けのマンガでも問題ありません。映画も受験でよく出題される小説の映像化したものだけでなく、説明文読解で役立つような歴史ものや生物関連のドキュメンタリーといったものも、知識を身につけるのにとても有効です。せっかく休みの日、勉強から離れる日として設けるので、ソファやベッドで寝転がって読むのも良しとしましょう。
まとめ
今回は、中学受験をする小学6年生の学習時間と取り組み方について紹介をしてきました。長時間勉強すればよいものでもないですが、数的指標があることは親子共に学習状況を把握しやすく便利でもあります。目標時間を設けることで達成すれば子どもたちも手ごたえを感じられたり、モチベーションアップができたりすることも多いです。
そこで、ある程度は他の受験生が取り組んでいる学習時間を意識しつつ、少しでも濃い学習ができるよう、集中して取り組むことや、効率的な学習も意識して勉強に向かうようにしましょう。限られた時間を大切に使うことができれば合格はグンと近づくはずです。